日本人の少ない国(地域)が留学先に最適な理由

留学で失敗しないためには、国(地域)選びはとても大切です。留学を考えている人の中には、日本人がいる場所を選べばいいのか、それとも日本人が少ない場所を選べばいいのか、悩むことでしょう。

結論を言えば、日本人が少ない地域を選ぶことです。

私は留学を2度しています。1度目は1ヶ月の短期語学留学をし、2度目はカナダの田舎にある高校で4年間の長期留学をおこない卒業しました。(私が長期留学で通っていたのは4年制の高校で、場所はカナダのサスカチュワン州の首都「レジャイナ」にある高校です)

私が長期で住んでいた場所はとても田舎です。田舎のため、地下鉄などの電車は走っていません。現地の空港は小さく、交通手段はバス・タクシー・自動車・マウンテンバイク・スケートボードなど、とても「地味」なものばかりです。

更に、冬になるとマイナス50度を超える極寒な場所です。日本人がなかなか訪れようとは思わないのが理解いただけるでしょうか。

ただ、安易に「日本人がいない地域に留学しよう!」と決めてはいけません。日本人がまったくいないのも問題です。

なぜなら、英語は言葉なので、私たち日本人が日本語を話さない環境にいれば日本語が伸びないのと同様で、英語が伸びない可能性も潜んでいるからです。そのため、「適度に日本人はいた方が良い」です。

私自身が2回の海外留学で学んだ教訓として、「日本人がまったくいない場所は留学先としてオススメではない。ただ、日本人が多すぎてもよくない」ことを学びました。その理由をお伝えします。

目次|このページでわかること

バンクーバーで出逢ったアジア人

私が初めて留学で訪れた場所は、カナダのバンクーバーでした。そこで、1ヶ月の短期語学留学を経験しました。

ある日の放課後、帰りのバスを待っていると、一人の30代くらいのアジア人女性が中国語で私に声をかけてきたのです。

彼女は私が中国人と勘違いされたのでしょう。私は「I’m Japanese.」と答え、そのときは何事もなく終わりました。ただ、私の中でこの出来事はとても大きな気付きを得た瞬間でした。

それは、大都市であれば英語ではなく、他言語でいきなり声をかけられる可能性があることです。

あなたがせっかく、時間・お金・体力を投資しておこなった留学が、街でいきなり英語ではない言語(たとえば中国語・韓国語)などで話しかけられたらいかがでしょうか?

実際、その場に直面したときの私の気持ちとしては、「なぜ海外に来ているのに英語ではないのだ?」と感じました。私にとってはそれだけがっかりした気持ちになった出来事でした。

幸い、私がいた語学学校のクラスには日本から来てる生徒はいませんでした。しかし、台湾や香港からの生徒はクラスに12人、ロシア人とドイツ人が1人ずつ、そして私の合計15人がクラスにいました。そのため、中国語がクラス内で話されることはありました。

ただ、日本人留学生にとっては嬉しい制度がカナダにはあります。それは、「母国語禁止制度」です。言葉の通り、学校内で母国語を話すことを禁止しているのです。これはカナダ発祥のルールと言われています。

生徒が母国語を話していると、その都度「English Please!」と教師から指摘されます。例えば1度目は警告で済みますが、次に違反をすると翌日の授業は受けることができないなどのシステムを導入している学校もあるくらいです。

私は上記の経験を通じて、時間・お金・体力を使って正規留学をするなら、「田舎で、より現地の人たちと触れ合えるような環境で、日本人が極力少ない環境を選ぼう」と決めたのです。

人間は痛みから逃げて、楽を求める生き物

日本人が少ない国(地域)を選んだ方が良いこととして、誘惑から断ち切るためです。人間は痛みから逃れ、楽をしたいと考える生き物です。そのため、この感情を切り離すためにはどうしても「強制力」を必要とします。

日本人が多く滞在している国(地域)を選ぶと、同じ人種なため相手と仲良くなりたい気持ちが高まるのが普通です。

学校に日本人がいると安心でしょう。母国語ですから会話も弾んで楽しいに決まっています。「留学」という共通テーマがあるため、その時々の悩みをお互いに話し合うこともできます。その気持ちは十分に理解できます。ただ、安易に日本人と群れると留学の本当の目的を見失います。

実際に私の友人で、同じカナダに留学し「日本人と群れてしまい、思うように英語力が伸びない」と相談を受けたことがあります。

「けんじは日本人が少ない場所を選んで良いね。その選択、本当に正解だよ。私なんて周りに日本人が多いから、ついつい日本語を話してしまって英語が上達している感覚がなくて」と言われました。

それだけ環境の力は強いことを友人から教わりました。

私が長期留学した高校には、私の他に日本人はもう一人しかいませんでした。受講していた授業がお互い別々だったため、学校内で日本語を話す機会はまったくと言っていいほどありませんでした。そのため、強制的に英語を話す環境を手に入れることができました。

楽をするのは簡単で、その逆の努力をすることには工夫をしなければいけません。

例えばダイエットで考えてみましょう。どんなに意気込んでダイエットに取り組み始めても、継続することは難しいです。そのため、「ダイエットのための筋トレ」や「食事法」などの工夫が必要になります。

同じように、実のある留学生活をおこなうためには、ある程度の「ルール」が存在します。私の場合、住む場所を変えれば自分も変わらざるを得ないと考え、環境から変えることにアプローチしました。

冒頭でもお伝えしましたが、私は2度の留学を通じて「日本人がまったくいない場所は留学先としてはオススメではない。しかし、多すぎてもよくない」と伝えました。

留学は誰もが簡単にできることではありません。人によっては一生に一度かもしれません。

そのためにも中途半端な考えで留学をするのではなく、「何のために留学をするのか」「誰のために留学をするのか」を真剣に考え、実のある留学生活を送りましょう。