語学留学をしたら、「留学先には日本人が居た方が良い」という話を聞くことがあります。一方で、「留学先には日本人が居ない方が良い」という意見も耳にします。
一体どちらが正解なのでしょうか? 私の場合、初めての短期語学留学はカナダのバンクーバーでおこないました。その後、同じカナダのサスカチュワン州のレジャイナに4年間の長期留学をしました。
長期留学では寮生活を2年おこない、その後はアパートを借りて一人暮らしを2年間しました。
短期留学と長期留学の2つの経験から思うことは、「留学をしたらできるだけ日本人と群れないこと」をオススメします。
そこでこのページでは、「なぜ語学留学先では日本人と群れない方が良いのか」について解説していきます。
目次|このページでわかること
英語の上達の妨げになる
日本人留学生の強みとして、「文法」と「単語力」があります。日本人の多くは、机の上で英語の勉強をしていたことから、単語力や文法に関する知識には非常に長けています。
しかし、一般的な日常の英会話が非常に弱いのです。例えば、ファッションについて聞かれたときに自分の意見を英語で伝えることができなかったり、相手の質問に対して理解できなかったりします。
また、別の話題が振られたときも、その輪の中に入れない人が多いです。そのため、自分の意見を英語で伝えるのが非常に弱いのが日本人留学生の特徴です。
確かに自分の考えや思いを他人に伝えることは日本語でも難しいです。そのため、英語で伝えるなら、なおさら難しく感じてしまうでしょう。このように、日本人の多くはスピーキング(話すこと)に対して、とても恥ずかしがり恐れを感じることがあります。
このような背景があることを理解したうえで、英語で話す力を鍛えるためには、留学してからは日本語を話す時間を極限に減らすしかありません。
日本語を話す友達をできるだけ少なくし、英語で話す友達を作るのです。人間は環境に順応する生き物ですから、誰と付き合うかでその後の成長が変わります。
経営コンサルタントで有名な、大前研一氏が非常に興味深い言葉を残しています。
人間が変わる方法は3つしかない。
1つ目は、時間配分を変えること
2つ目は、住む場所を変えること
3つ目は、付き合う人を変えること
この3つの要素でしか人間は変わらない。
もっとも無意味なのは、「決意を新たにすること」だ。
行動を具体的に変えない限り、決意だけでは何も変わらない。
大前研一
上記の言葉はとても重要な考え方です。特に、「決意を新たにしても意味がない」と言い切っていることが非常に興味深いです。決断をしても、その後に具体的な「行動」がなければ人間の成長はないと断言しているのです。
時間配分を変える
日本人が多くいる学校に留学した場合、必ず日本人と一緒に過ごす時間を持つようになります。慣れない異国ですから、安心して日本語を話せる仲間がいることはとても嬉しい気持ちになり、楽しいでしょう。
しかし、彼らと同じ時間を過ごせば過ごすほど、あなたの英語力は絶対に上達しません。仮に日本語を話すとしても、「毎日1時間だけ日本語を話す」程度にとどめましょう。ルール化することで、日本語の使い過ぎを防ぐことができます。
1日は24時間しかありません。この「時間配分を変える」ことによって、成長する人と現状維持の人と別れてきます。例えば、以下は実際に私が行った行動の一部です。
- 学校から帰宅後、毎日平均2〜4時間の英語学習をする
- サッカー部に入部し、現地の学生と一緒にサッカーの練習をする
- 英語を理解できなくても、自分から現地の人と1日に最低5人と話す
- 街に出て、買い物をしたりバスに乗ったりして、自発的に人と接触する意識を作る
あなたが留学してから英語を上達させたいのであれば、上記を参考に自分の時間配分に意識を置くようにしましょう。
住む場所を変える
英語を上達させるために海外留学をすれば良いとおもっているのであれば、それは大きな間違いです。あなたが本当に英語を上達させたいのであれば、住むべき場所は「日本語が通じない場所」です。
正直にいうと、私は意思の弱い人間でした。それは今でも変わらないかもしれません。そのため私が留学したときは、できる限り「日本人と一緒にいないこと」を意識していました。強制力を働かさないと、日本語が話せる状況になれば、英語を話さなくなるのではないかと思っていたからです。
この考えは見事に的中しました。実は、私が高校留学をしたとき、韓国人の留学生数人がルームシェアをしながら学校生活を送っているのを見ていました。彼らのルームメイトは韓国人ですから、放課後からは韓国語で生活をします。
彼らは学校では英語で授業を受けますが、放課後からは完全に韓国語を話すことになります。そのため、彼らの英語力はまったく上達しませんでした。その上達のスピードは、私が見ても一目瞭然でした。
「住む場所を変える」ことは、重要な考え方です。あなたが留学をしたら、できるかぎり日本語を話す生活環境を作ってはいけません。残念ながらこのような意識では、英語力が上達することはないでしょう。
同じ国の留学生同士でルームシェアをする人たちの共通点として、「意思が弱い」ことが挙げられます。「同じ」を好み、「違い」を避けます。このような考えでは成長はありません。英語も上達しないため、環境選びはとても重要です。
付き合う人を変える
多くの留学生は、同じ国からきている留学生とすぐに友達になろうとします。しかし、留学をしたらこのような行動をできるだけ避けなければいけません。
日本人が多くいるような語学学校でも、日本人とはできる限り付き合わないことです。確かに同じ日本語を話す人と付き合うことで、精神的な拠り所となり、安心感を得ることでしょう。ただ、同じ国の友達と仲良くしている限り、絶対に英語力は上達しません。
語学学校内で英語力を上達させるためには、付き合う人を変える意識を持ってください。同じクラスに日本人が居ても、隣の席に座らないことです。
もし相手の方から「一緒にやろう」と話をもちかけてきたら、「お互い別々のグループになって、プロジェクトを頑張ろう」と提案をすると良いです。なぜなら、せっかく英語を話せる機会ですから、チャンスをしっかり掴む努力が大切です。
例えば、授業の課題でグループプロジェクトがある場合、「日本人留学生とおこなわない」と決めることです。その代わり、メキシコやドイツ、スペイン、韓国、台湾など他の国からきている留学生とグループワークをするようにしましょう。
上記の大前氏の言葉でいう「付き合う人を変える」ことが成長する鍵になります。このことは、語学留学をしてから非常に重要なポイントになります。
また、自分の中で、「留学してから日本語を話す機会を減らす!」というルールを設けると良いです。日本語を話す機会を減らし、「どのようにして英語漬けの日々を送れるか?」だけを考えることです。
ただ、誤解してほしくないのが、語学を習得する理由で日本人を避ける必要はないということです。私が言いたいのは、「常に日本人と一緒に行動を共にしない」ことを提案したいのです。
せっかく留学先で出会った日本人ですから、連絡先を交換して帰国後も交流を深めるのは良いことです。ただ、留学してからも日本人と行動を共にした結果、英語の上達をしないまま帰国した人をたくさん見てきました。彼らの共通点は日本人と常に行動していたことにあります。
大切なのは、すべては自己責任で決めることです。
もちろん、日本人と交流を深めても語学学習に力を注げる人もいます。このような人は、日本語を適度に話すことで日々のストレスを解消しています。
適度に日本人と付き合い、精神的にもプラスに働かせようと考えています。一方で、上記でお伝えしたような他人の人生に流されるまま終わってしまう留学生もいます。
このときに大切なことは、あなたが留学してから「何を得たいのか」を明確にすることです。
あなたの人生ですから、あなたが意思・意図をはっきりさせないと、他人の人生に流されてしまうことになります。あなたの取捨選択は、あなたが選ぶものです。このことをきちんと理解しておきましょう。
ネイティブスピーカーと話す機会を大量に作る
もう一つのポイントは、学校にいるネイティブスピーカーの先生との時間を大量に持つことです。例えば、あなたがカナダに留学をするならカナダ人の先生とたくさん話すことです。アメリカならアメリカ人と、オーストラリアならオーストラリア人と話すことです。
そして、同じ日本からきている学生とはできる限り距離を置いて、「現地の人たちと時間を過ごすこと」に意識を置くようにしてください。
私自身、田舎であるレジャイナに留学したときは、日本からの留学生は私の学年に一人もいませんでした。
このときの私の気持ちは、日本人が少ないことに心細さを感じ、多少の不安や寂しさを感じることがありました。しかし、そのマイナスな感情も受け入れ、乗り越えなければ本当の意味で英語力をつけることが難しいと考えていました。
結果的には日本人が少ない環境を選んだことで、英語漬けの日々が送れたので非常に良かったと思っています。この経験が、今になってどのように私の人生に役立っているかは次のとおりです。
- 英語で海外のニュースを理解することができるため、世界情勢に知見を持てるようになった
- カナダ、アメリカ、オーストラリア、デンマーク、フランス、フィリピン、台湾、韓国など世界各国に友達ができるようになった
- 日本だけに縛られず、小さな視点から大きい視点で物事を考えられるようになり、自分の世界観が広がった
- 英語の通訳の仕事をいただいたり、英語に関してアドバイスを求められることが増え、新しい出会いが増えた
- 異国で生活した経験を通して、精神的に強くなった
- チャレンジ精神をもって、何事もポジティブに物事を考えられるようになった
- 人の意見に流されずに、「自分で考えて行動すること」の大切さを実感できた
海外留学をしたことで、私の場合は上記のようなことができるようになりました。
私は、もともとは英語ができないことをサイト内にある他の記事で述べています。ですので、あなたも努力を続ければ、必ず英語が上達するようになります。
あなたの英語の上達を助けてくれる友達を作る
留学をしたら、あなたの英語の上達を助けてくれる友達を作ると良いです。例えば、ネイティブスピーカーの彼氏や彼女を作るのも、英語を上達させる上での一つの方法です。なぜなら、多くのネイティブスピーカーは「日本のこと」に興味を持っています。
相手から英語を教えてもらい、あなたは日本語を教えると良いです。すぐに彼氏・彼女の関係ができなくても、街中やバスの中で隣になった人に話しかけるのも一つの手です。私もはじめて留学したとき、街中で話しかけるように意識していました。
例えば、以下のようなフレーズを使って、街中やバスの中で話しかけると「英語を話すキッカケ」を手に入れることができます。
バスを利用するときに使える英文例
英語 | 日本語 |
Is there a bus to downtown? | ダウンタウンへ行くバスはありますか? |
Where is the bus stop for Central Park? | セントラルパーク行きのバスの停留所はどこですか? |
Does this bus go to Southland Mall? | このバスはサウスランドモールまで行きますか? |
Do I have to transfer? | 途中で乗り換える必要がありますか? |
How long does it take to get there? | どのくらいかかりますか? |
このようなフレーズを使って、話しかけてみましょう。また、あなたがバスを降りるときに、運転手や道を教えてくれた人から「Take care.(気をつけてね)」と言われることがあります。このとき、あなたは「Thanks, you too.(ありがとう、あなたもね)」と笑顔で返すと親切です。
道を尋ねるときに使える英文例
英語 | 日本語 |
How can I get to this address? | この住所へはどのように行けば良いですか? |
Could you tell me the way to the post office? | 郵便局へ行く道を教えていただけますか? |
Could you tell me the way to the public library? | 図書館へ行く道を教えていただけますか? |
Are there any landmarks? | 何か目印はありますか? |
Where is the nearest subway station? | ここから一番近い地下鉄はどこですか? |
Which station do I have to get off at to go to Central park? | セントラルパークへ行くには、どの駅で降りればよいですか? |
道を尋ねるときに使える英文を挙げてみました。私の場合、今回お伝えした英文例を頻繁に利用していました。これらを使って自分から英語を話すことで、英会話が始まります。
最初は勇気を振り絞って質問しなければいけないでしょう。しかし、勇気を出して声に出せるかどうかがあなたの留学生活を左右することは間違いありません。このとき、失敗することを恐れないでください。
それだけ、自分から英語を声に出すことが大切です。一度、勇気を出して質問することで自信が持てるようになります。
まとめ
上記のような英文を使って、日常生活の中から英語を話す環境を作り上げることで、少しずつでも自分の英語力に自信が持てるようになることをお伝えしました。
他にも、以下のような方法で英語を話す環境を作ることができます。
- 友達からパーティーに誘われたらできるかぎり参加してみる
- スポーツ観戦に誘われたら、参加してみる
- 料理が得意なら、料理を作って周りの友達に配ってみる
- 友達と一緒に公園へ散歩してみる
周りから何かのイベントに招待されたら、できるかぎり参加しましょう。机の上で勉強するより、人と触れ合いながら英語を学んだ方が上達するスピードは格段に早くなります。要は、「習うより慣れろ」です。
そして、たった一人でも良いですから、普段から英語で話せる友達を作るように心がけてみてください。
語学留学をしたら、できるだけ英語だけを話す環境を作り、自分の英語力を向上させるために何ができるか、頭に汗をかきながら英語の上達に励みましょう。