交換留学と卒業留学の違いを知り、高校留学の失敗を避ける

高校留学

私は高校のときに4年間留学し、現地の高校を卒業しています。そのため、中高生の子供を持つ親御さんから「将来、海外の高校に行かせたいのですが、何かアドバイスを頂けませんか」と聞かれることがあります。

先日も「来年に中学を卒業する2番目の息子が、高校留学を考えているからアドバイスが欲しい」と相談を受けました。このように「高校留学をしたい」と考える人は多くいます。

留学希望の本人から話を聞いてみると、「海外留学をして英語を学んで世界を広げたい」という内容の話でした。とても志が高く、目標をもっていることが伺えました。ただ、この親子は留学する上で一つの悩みがありました。

それは、「1年間の交換留学と卒業を目指した卒業留学のどちらが良いのか」というものでした。大きく分けて、高校留学には2つの方法があります。それは、「交換留学」と「卒業留学」です。

1年間の留学であれば、1年後は日本の高校に復学ができます。一方、卒業留学の場合は現地の高校を卒業することを目指す留学になります。この2つの留学方法を理解した上で、留学するタイミングを決定しないと、高校留学そのものが失敗することになりかねません。

そこでこのページでは、「高校留学の2つの種類とその特徴」について解説していきます。

目次|このページでわかること

高校留学2つの種類とその特徴

上記でお伝えしたように、高校留学には大きく分けて2つの種類があります。それが、「交換留学」と「卒業留学」です。それぞれ滞在期間が異なり、現地での留学生活で求められる資質が変わります。それぞれの違いと概略などを詳しく解説していきます。

「国際交流」を目的とした交換留学の特徴について

交換留学の場合、滞在期間が1年と短期で留学するケースのことをいいます。交換留学は、1年間という期間の中で「異文化交流・体験」が一番の目的です。

高校生が1年間、交換留学を通じて現地のホストファミリーと一緒に暮らすのが一般的です。1年間という限られた期間で海外生活を体験し、その体験を日本に持ち帰り、今後の人生に生かすことを主旨として行っているプログラムになります。

そのため、交換留学を通じて語学力が向上することはもちろん、異文化経験を通じて自分の人生観を大きく広げることができるのが交換留学の醍醐味でしょう。

交換留学では、ホームステイをしながら現地の公立高校に通い、海外の文化を学んだり国際交流をしたりすることを目的としています。

交換留学の場合、大きく3つの特徴があります。1つ目は、留学の手続きを交換留学取扱い団体が行うことになります。このとき、一般的にはアメリカに交換留学をする人が多いですが、運営団体によっても留学先の国が変わります。

留学手続きは交換留学団体が行うため、あなたが留学の手続きをする必要がありません。卒業留学の場合は、すべての手続きを自力で行うか留学エージェントを通して行うのが一般的です。

一方、交換留学であれば留学手続きを運営団体が行うため、その分を英語の勉強や、別のことに時間を充てることができます。

2つ目は、留学先の学校、滞在先のホストファミリー、留学先の地域、通学する学校などは、上記の団体によって指定されるのが特徴です。

例えば一般的な留学では、留学する学校に必要書類を送付して出願しなければいけません。そして合否が判断されます。一方、交換留学ではボランティアでホームステイを受け入れてくれる家庭を決めることになります。

運営団体がホストファミリーを決めるため、ホームステイ先が決まるまでは自分がどこの地域や学校に留学するか明確には分かりません。

そのため、ホームステイ先が決まった後で、留学先の地域や学校が具体的に分かるようになります。また、あなたが直接留学先の高校と何かやり取りをすることはありません。基本的には留学する本人からの要望は受け付けられていません。

3つ目に交換留学の場合、留学先に学費を払う必要がありません。交換留学の費用が安価な理由はホストファミリー・学校によって、無償で行っているボランティアプログラムなのです。そのため、安く提供することができるのです。交換留学の参加費用は、交換留学団体がプログラムを運営する運営費に充てています。

このように、授業料は学校から無償で提供されるため、授業料が免除されています。そのため、全体の留学費用を安く抑えることができます。

上記でお伝えしているように、交換留学の最大の目的は「国際交流」です。1年間という短い期間の中でさまざまなことを吸収し、異文化交流を通じて自己成長をすることができるのが最大の魅力といえます。

ホームステイ先で現地に住むファミリーと一緒に時間を過ごすことで、日本では味わうことがない経験をすることがあるでしょう。例えば「ホームパーティー」です。家族や親戚などが一斉に集合し、豪勢な食事を楽しみます。

週末には教会に行ってお祈りをしたり、ホストファミリーと小旅行を楽しんだりするでしょう。

実際、私の友人が1年間の交換留学を経験しました。彼女は1年間の交換留学を通じて、大きく以下の3つを経験できたと言っていました。

(1)日本にいたら出逢えなかった新しい仲間との交流ができたこと
(2)異国で生活することの楽しさと、英語を話す楽しさの2つを味わえたこと
(3)留学を通じて、「チャレンジ精神」が身についたこと

このように、交換留学の場合はどっぷり勉強することが中心の生活ではなく、勉強以外にもさまざまな体験を味わうことができるのが国際交流の醍醐味であり、それが「交換留学」です。

「卒業」を目的とした卒業留学の特徴について

冒頭でお伝えしたように、私はカナダの高校を卒業しています。そして私が行った留学が現地の高校を卒業する「卒業留学」です。

「卒業留学」とは文字通り、現地の高校を卒業することを目的としています。英語で卒業証書のことを「Diploma = ディプロマ」と呼びます。このことから、別名「ディプロマ留学」とも呼ばれています。

高校から留学して現地の学校を卒業する場合、基本的には日本の中学校を卒業した後に、現地の高校に3年〜4年通って卒業するのが卒業留学で辿る道です。

一番重要なこととして、卒業することを目指して現地の高校で勉強するなら、日頃から遊び呆けていたら絶対に卒業することはできません。なぜなら、必死に勉強しないと他の生徒に置いてかれてしまうからです。

また、悪い成績を取り続けると単位を取得することができません。単位を取得できなければ留年をしてしまいます。場合によっては退学もありえます。

普段の授業の内容が理解できず、授業に追いつけないことから単位を取得できないまま、自国に帰国せざるを得ない留学生を実際に私は見てきました。そのため、生徒はみんな必死に努力して勉強します。他の留学生と切磋琢磨するため、学習意欲が高い学生が多いのが特徴です。

このことから、卒業留学は交換留学とは違って「勉強が中心」の留学生活を送ることになります。そのため、卒業留学は中途半端な気持ちでは成し遂げることができないことを理解してください。

1年間の交換留学とは違い、卒業留学は留学期間が3〜4年間と長期になります。現地に滞在する期間が長ければ、英語漬けの毎日が送れるようになります。そのため、交換留学生と比べると、英語に対する自信や成果は圧倒的に高いレベルまで確立させることができます。

私自身、高校留学をしてから勉強する時間が圧倒的に増えました。日本では勉強時間より遊ぶ時間の方が多かったのですが、留学先の高校では勉強する時間の方が多かったです。

具体的な勉強時間としては、最低でも1日4〜5時間は確保していました。その理由は、「自分で努力をしなければ授業についていけないから」です。

普段の授業についていけないのは、やはり苦しいです。そのような苦い思いをしないためにも、日頃から自分で努力して勉強したり、人に質問して周囲を巻き込んだりするなどして、自分から積極的に行動して生活していかなければ卒業留学を成功させることは難しいです。

そして、大量に自習時間を作り学習するクセをつけることをオススメします。卒業留学は苦しいこともあるのは事実です。私も1年目はとても辛い思いをし、苦労しました。

例えば、生徒全員の前でプレゼンテーションを行う機会がありましたが、まともにスピーチができずに赤点を取ったことがあります。また、グループワークでは意見を求められてもうまく伝えることができなかったこともあります。

このような経験を通じて、「自分はもっと努力しなければダメだ」と思うようになりました。

人は、痛みを通じて「現状のままではダメだ」と気付きます。人間は、痛みを感じる分だけ成長できる生き物です。これらの理由から、辛い経験や痛みから逃げることなく、立ち向かう努力をしてください。

卒業留学は交換留学とは違い、生半可な気持ちでは出来ないことを上記でお伝えしました。日頃からの努力で、真剣に高校の勉強に励み自力で単位を取得する必要があります。

そのため、それなりの覚悟と努力を必要とするのが高校の卒業留学だということを理解してください。このことをしっかりと理解した上で、高校から卒業留学をする人は真剣に学校生活を送ってください。

あなたが真剣に取り組めば取り組むほど、結果は後からついてきます。

「交換留学」と「卒業留学」のまとめ

上記でお伝えしたように、高校留学には大きく分けて2つの形があります。表にまとめると以下の通りです。

<交換留学> <卒業留学>
 <留学目的> 国際交流・異文化交流が目的 高校卒業・大学進学&卒業が目的
<滞在方法> 留学取扱い団体の手配でホームステイが決まる ホームステイ・寮・アパートの3つから選ぶ
<留学先> 公立高校へ 私立高校 OR 公立高校へ
<希望校> 留学取扱い団体の手配で決まるため、自分で選ぶことができない 自分で選ぶことができる
 <留学期間> 1年間(短期留学) 3〜4年間(長期留学)
 <留学費用> 費用:約100万/年
学費・滞在費無料
費用:学費・滞在費・食費・生活費など合わせて約400〜500万円/年
 <留学手続き> 各留学取扱い団体の応募規定に則する。留学先の高校と直接のやり取りはない それぞれの学校に願書・書類を提出し、面接を受ける
<留学後> 日本の高校へ復学する
※1年間の短期期間のため
海外・または日本の大学へ進学する
<難易度>
※5段階評価
★★★ ★★★★★
<交換・卒業留学に向いている人> ・短期留学をして自分の世界観を広げたい
・海外留学を通じて新しい友達を作りたい
・「海外の高校を卒業する」覚悟がある
・自律心をもって何事もチャレンジできる
・絶対に最後まで諦めずに成し遂げられる

上記のように、交換留学と卒業留学ではまったく内容が異なります。例えば卒業留学の場合、留学団体があなたの代わりに滞在先や学校などを決めることはありません。

卒業留学の場合、候補をピックアップし最終的に自分で決めなければいけません。また、交換留学は留学期間が1年の短期に対し、卒業留学の場合は3〜4年と長期になります。

それぞれ求められる英語レベルが違うのはもちろん、現地に住み続けるための環境適応能力も必要とされるのが卒業留学です。

難易度については、1年の交換留学に比べて、長期の卒業留学の方が難しくなります。なぜなら、「卒業」することが一番の目的だからです。

卒業留学の場合、常日頃から出される宿題は多くあります。また、定期的な中間テストや期末テストもあります。そのため、交換留学より卒業留学の方が難易度は高くなります。しかし、達成感や成長している実感を深く感じることができるのは卒業留学です。

上記のことを理解した上で、あなたは交換留学と卒業留学、どちらを希望されていますか? 交換留学であれば1年後に日本の高校へ復学するため、気持ち的には少し楽かもしれません。

しかし、もしあなたが卒業留学を考えているのなら、本気で「絶対に卒業する!」と力強いやり遂げる意思を持って突き進んでください。

表からもわかるとおり、卒業留学の方が交換留学より難易度は高いです。その分、卒業留学の方が英語力はもちろん、多角的に成長できることは私の経験を通じて保証します。

今回お伝えした交換留学と卒業留学の違いとその特徴を理解することで、高校留学の失敗を避けることができるようになります。